

第94回 AM 96問
脳ヘルニアの徴候はどれか.
1.動眼神経麻痺では瞳孔が収縮する.
2.頭蓋内圧亢進によって頻脈になる.
3.除皮質硬直では上下肢が伸展する.
4.延髄の障害によって失調性呼吸になる.
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シンキングタ~イム
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答え 4 ★★★
解説 難しいですねぇ。 まず、動眼神経麻痺ですが、瞳孔不同や瞳孔散大は
ありますが、瞳孔の収縮はありません。頭蓋内圧亢進は、頭蓋内の末梢血管の抵
抗により脈圧の増加と血圧上昇が起こり、頭蓋腔内の血行が妨げられ延髄の循環
中枢に血液がいかなくなり、興奮して交感神経が刺激されるために起こります。
血圧上昇の結果、圧受容器が興奮し、迷走神経の反射性の興奮により徐脈がある
ことを覚えておかねばなりません。
「除皮質硬直」と「除脳硬直」覚えにくいですね。除皮質硬直は、大脳皮質・白質
の広汎が障害された時に生じ、体幹・四肢筋の筋緊張亢進と持続的な筋収縮で上肢
は、肘・手首で「屈曲」し、下肢は膝・足首で過伸展・内転位となる。この設問は、
除皮質硬直で上下肢が「伸展」とありますから、間違いですね。ただ、除脳硬直の
場合は、上肢が伸展位となります。紛らわしいだけに試験には出題しやすいのでし
っかり覚えましょう。
脳ヘルニアが進行し「延髄」まで障害されると失調製呼吸となります。意識レベル
は、JCSで200~300であり、非可逆的な状態となります。脳ヘルニアは、早期間脳期
においては、正常呼吸を保つか、大きな呼吸と無呼吸をくりかえすチェーンストーク
呼吸ですが、中脳~上部橋期で中枢性過呼吸となり、下部橋部~上部延髄期で浅く
速い呼吸になり、失調性の呼吸が見られ、延髄期は、あえぎ呼吸となります。
臨床症状である程度脳ヘルニアの進行が把握でますので頑張って覚えましょうね。
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第94回 AM 48問
意識障害のある患者に痛み刺激を与えたところ,開眼せずわずかに上肢を動かした.
ジャパン・コーマ・スケールによる意識レベルはどれか.
1. 2(英数字)-20
2. 2(英数字)-30
3. 3(英数字)-100
4. 3(英数字)-200
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シンキングタ~イム
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答え 4 ★☆☆
解説
ジャパンコーマスケールは、国家試験の脳神経領域で高頻度で出題されています。
臨床でも使用しますし、覚えてさえいれば比較的容易に点数を稼ぐことが出来ます。
さて、「痛み刺激により、開眼しない」ということは、その時点で3桁ということ
になります。
よって、答えは、3か4に絞られますね。次に100か200で悩むと思いますが、
100ですと痛み刺激で「開眼はしないが払いのける」に対して、200は、「少し手足を
動かしたり、顔をしかめる」とあります。よって、答えは、4ということになります。
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【疾患名】 くも膜下出血
英名; Subarachoid Hemorrhage
略語 ; SHA
【病態生理・発生のメカニズム】
くも膜下出血の主な原因は、脳動脈瘤の破裂であり、それ以外に脳動静脈奇形
(若年者に多い)や、外傷性がある。
脳動脈瘤は、脳底動脈輪(ウィリス動脈輪)にできた動脈瘤の破裂であり、
動脈硬化の延長線上の疾患である。
突然に発症する強い頭痛と吐き気といった頭蓋内圧亢進症状と項部硬直などの
髄膜刺激症状などの意識障害を生じる。一度破裂した脳動脈瘤は、
70%を超える確立で再破裂し高い死亡率を示すため、
手術による脳動脈瘤の破裂防止が必要となる。
重症度の低いくも膜下出血は、手術後の予後がよいが、
手術後の脳浮腫や脳血管攣縮(れんしゅく)といった問題もある。
重症度分類は、「ハント・コスニック(Hunt-kosnik)の分類」を用いる。
脳動脈瘤のサイズは、12~25mmのものを大動脈瘤(Large Aneurysm)と呼び、
25mm以上のものを巨大動脈瘤(Giant Aneurysm)と呼ぶ。
種類としては、嚢状や紡錘状があり、解離性の動脈瘤や細菌性の動脈瘤もある。
【検査】
頭部単純CT
くも膜下腹腔に高吸収域(白く見える)が確認できれば診断がつき、
その後、脳血管造影を行い、破裂した動脈瘤を探す。
ただ、出血が少量であったり、時間が経過している場合は、典型的な所見と
ならないこともある。その場合でも、くも膜下出血が疑われれば腰椎穿刺を行い、
髄液を採取する。出血して間もないくも膜下出血は、血性であり数日たった
くも膜下出血は、キサントクロミー(黄色)である。
【治療】
〔手術〕
脳動脈瘤クリッピング術
〔カテーテル〕
プラチナコイルを使用した脳動脈瘤塞栓術(瘤内コイル塞栓術 GDC;Guglielmi Detachable Coil)
【合併症】
脳血管攣縮
正常圧水頭症
【予後】
再破裂前に根治的手術を行い、術後に合併症を起さなければ社会復帰できる。
二度目の破裂を起すと、高度の後遺症を残し死亡率は70%を超える。
【予防法】
動脈瘤が見つかれば、破裂予防を目的とした手術やプラチナコイルを使用した治療方法がある。
ただし、脳動脈瘤全てが破裂するわけではなく、手術の合併症が全くないわけではないので
予防的手術の賛否は分かれる。動脈硬化に付随した疾患である。
そのため、動脈硬化を起さないような生活習慣を心がけることが予防につながる。
【看護】
くも膜下出血をきたすと、血腫によりいったん止血されるが6時間以内に
再出血する確率が高い。そのため、刺激を避け、再出血の予防と早期発見が重要。
血圧の変動は、再破裂の危険因子であるため血圧コントロールは重要。
突然のことであるため、家族への配慮も重要。
出血後2週間までは脳血管攣縮を起すことがあるため、異常の早期発見が重要。
また、一ヶ月前後に、正常圧水頭症をきたすことがある。
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第94回 AM 16問
脳血管疾患にみられる症状はどれか.
1. 発疹
2.腰痛
3.下痢
4.嘔吐
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シンキングタ~イム
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答え 4 ★☆☆
解説 嘔吐は、脳血管疾患に特徴的な症状の一つです。
15~20mmHg の軽度の頭蓋内圧亢進で、頭痛や嘔吐が出現します。
さらに亢進すると意識障害が出現し30mmHgを超えると脳ヘルニアを起し、
死亡する恐れが出てきます。「嘔吐」症状を呈する患者さんを発見したら、
「頭蓋内圧亢進の初期症状」ということを念頭において頭痛など他の
脳血管疾患の症状を確認すると異常の早期発見につながりますね。
症状には、全て原因があります。
なるべく早く原因に気づくよう意識する姿勢が大事ですね。
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第95回 AM 109問
左片麻痺のある高齢者の転倒・転落の防止対策で適切なのはどれか.
1.オーバーテーブルにつかまって立ち上がるよう指導する.
2.ベッド柵は外れないように全柵を固定する.
3.ポータブルトイレは高齢者の左側に置く.
4.車椅子を止めている時はフットレストから足を床に下ろす.
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シンキングタ~イム
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答え 4 ★☆☆
解説 オーバーテーブルは、おそらくほとんどがキャスター付であると思われます。
オーバーテーブルにつかまって立ち上がることは非常に危険ですね。また、ベット柵を
外れないように固定してしまうのは、むしろ危険です。片麻痺であっても
「歩きたい・起き上がりたい」という衝動があるからこそ転倒・転落につながるわけです。
ベット柵を高くするということは、その患者さんにとってハードルを上げることになり、
柵を乗り越えようとする意識を抑制することにはなりません。そして、転落した時は、
むしろより高いところから床に落ちることになりより危険な状態を作り出します。
ポータブルトイレは、左麻痺ですので左に置いてしまうと自由に使えるはずの右手を
有効に使うことができず危険な状態となります。よって解答は、「4」となります。
悩む問題だと思います。消去法で解答を導き出せますが、フットレストに足を置いておく
ということは不安定な状態です。何らかの理由で力をかけようとして体のバランスを大きく
崩すことがありますので、車椅子を止めている時は、フットレストから足を下ろしましょう。
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